京アニ制作アニメ『AIR』の聖地に行ってきました(1) 和歌山県美浜町

  • 2019年8月11日
  • 2022年3月12日
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京都アニメーション制作のアニメ『AIR』の聖地に行ってきました。

和歌山県美浜町と兵庫県香住町に行きましたが、今回は和歌山県美浜町です。

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はじめに

『AIR』はVisualArt’s/Key原作のPCゲームで、2005年に京都アニメーションによってアニメ化された作品です。

初視聴以来、私は夏を感じさせるこの作品に個人的な思い入れをずっと持っており、数あるアニメの中で、今でも私にとって特別な作品です。

そして、この作品の物語を彩る背景にはモデルとなった土地、いわゆる“聖地”があると知ってから、いつかは行きたいと思っていました。

ところが2019年7月18日京都アニメーション放火殺人事件が起こってしまいました。

私はその事件に大きなショックを受け、未だに感情の整理ができていません。

しかし、今年は「行かなければならない」と思い、アニメ『AIR』の背景に使われた風景が数多くある、和歌山県美浜町と兵庫県香住町に行ってきました。

どちらの町も、素朴で美しい海辺の町でした。

それでは早速、アニメのシーンとともに、モデルとなった風景をご覧ください。

※画像の掲載順は物語順ではなく、私が訪れた順番となってます。

※※作品の舞台に訪れるいわゆる「聖地巡礼」をする際には、その土地に住む方々の迷惑にならないよう心がけてください。

 

アニメ『AIR』の聖地 和歌山県美浜町

西御坊周辺

和歌山県美浜町へ公共交通機関で行くには、まずはJR御坊駅に行きます。

JR御坊駅

美浜町の入り口である西御坊駅へは、御坊駅から単独で完全に独立した鉄道路線としては日本一短い路線とされる紀州鉄道に乗ります。

ちなみに、私は御坊駅から徒歩で行きましたが、駅前からはバスが出ており、ロケ地がいくつか点在する美浜町の奥の方、日ノ御埼(日の岬)方面へは、1本で行くことができます。

御坊南海バス日の岬パーク線の海猫島行で「アメリカ村」に行くと、すぐにいくつかのロケ地があります。

紀州鉄道西御坊駅

西御坊駅は、紀州鉄道の終着駅で、ご覧の通り雰囲気のある駅です。

電車を降りて左側が駅の出入口ですが、右側にも細い通路があります。

そして、その右の細い通路から駅を出ると、聖地1箇所目です。

6話より

川に架かる線路はありませんし建物の形も少し違いますが、ほとんど同じです。

この撮影地点から振り返ると、終点の駅であることを示す柵が見えます。

往人は終着駅の向こう側の、もう電車の通ることのない線路を歩いているのです。

次の場所へはこの紀州鉄道に沿うようにしてある大きな通りを渡ります。

「ラーメン屋まるよし」から北へ進んですぐのところを左に曲がり、またすぐ、今度は右へ曲がり道なりに進みます。

すると十字路に行き当たり、そこが2番目の聖地です。

BD特典 OPロングVer.

アニメの画像にある「クリーニング」や「洋服店」という看板は、現在は既になくなっていますが、かつては実際にありました。

この画像は「ヤマジュンのアニメ聖地探索」というブログにあります。

この方のブログは聖地のかつての姿はもちろん、上の画像をはじめ、『AIR』の聖地を取り上げた多くの他のサイトなどにはない視点の画像がありますので、大変参考になりました。

ヤマジュンのアニメ聖地探索

9/19(sun)に行ったAIR聖地@和歌山県美浜町の巡礼写真を載せます。がおがおThe 1000th summer ―…

この場所には、もう1つ見ておかなければならないところがあります。

この御坊・美浜の地域が『AIR』の聖地であることは間違いありませんが、「ここが『AIR』という作品で使用されました」というようには、大々的に紹介されていません。

ですが、この旧中谷洋服店には、『AIR』の聖地であることがしっかりと示されています。

この建物に向かって右側の隙間に入ったところの壁には次のような掲示があるのです。

この掲示を誰が(自治体?建物の所有者?)取り付けたのかわかりませんが、画像つきで分かりやすく表示されています。

他の場所でもこれと同じ様な掲示を探したのですが、見つけらなかったことを考えると、個人的に設置されたものなのかと推測します。(私が見つけられなかっただけかもしれませんので、もしご存じの方がいればご連絡いただけたらと思います。)

このキャプションには「京都アニメーション」の文字が見えませんが、私は、これは京アニの力なのではと思います。

どういうことかというと、このアニメの画像は他の場所と違い、物語中の場面ではなくTV放送されたものではありません。

BDの特典として付けられた、OPのロングバージョンの1シーンでしかないのです。

これは私の想像ですが、これを設置した方は、自分の土地がアニメ作品の背景として描かれたことが純粋に嬉しかったのではないかと思います。

何故嬉しかったかと言うと、描かれた背景が素朴な町の空気や雰囲気を残したまま、精緻で美しく表現されていたからではないでしょうか。

そして、そんな表現ができるのが京都アニメーションです。

京アニはなんの変哲もない風景をその空気を保ったまま、しかし美しく、アニメの背景として立ち上げる力があるということです。

私はこの場所を訪れ、そんな事を考えました。

 

では、聖地紹介に戻ります。

この旧中谷洋服店の十字路を左に曲がり、道なりに進むと川を渡る橋があります。

その橋を渡った先にアニメで描かれた風景が2つあります。

まず第1話の観鈴の学校の帰り道です。

1話より

アニメでは「タカハシ」ですが、実際は「ハヤシ」です。

周囲の建物もほぼそのまま描かれています。

この撮影スポットは少し下がったところに草が生い茂っています。

また、観鈴と往人の視線の風景も載せておきます。

観鈴と往人の視点で見える風景

この場所から道なりに30mほど進むと次のスポットです。

第6話で美凪の回想で、少女の頃の美凪が路地の階段から降りてくるシーンです。

6話より

残念ながら、向かって左側の木造の建物は既になくなっています。

先程も取り上げた「ヤマジュンのアニメ聖地探索」にはこの建物が残っている頃の画像がありますので是非みてください。

このあたりも実際に行ってみると、特別なものは何もありません。

何も知らずに行ったら何も感じず、気づかず、通り過ぎてしまうような場所です。

ですがおそらく京アニのスタッフは綿密なロケハンを行い、物語に必要な場所として描きあげたのでしょう。

浜ノ瀬地区

では、次の場所へは一旦西御坊駅方面へ戻ります。

大通りを今度は南へ進み、ファミレス「ガスト」の手前、名屋町3丁目北の交差点を右へ曲がります。

名屋町3丁目北の交差点

そこを道なりに進むと川を渡り、その一画に2箇所スポットがある浜ノ瀬地区に着きます。

この辺一体は海に近く、ひしめき合う古い木造の建物の間を細い路地が張り巡る、非常に雰囲気のある地域です。

ただ多くの方が住んでいるので、私有地に入るなど迷惑となる行為には気をつけたほうが良いでしょう

この地域を通る道の中では比較的広い道沿いに2箇所あります。

まずは第2話で手術を控えた少女・志野さいかを家に送ったあとの帰り道です。

2話より

鉄柵などの雰囲気は近いと思います。

さらにここから3,40m進むと、もう1つロケ地があります。

第1話で往人が観鈴を初めて学校へ送る時、その通学路にある「津波に注意」の表示です。

1話より

表示が新しくなり、以前は5.0mだった数字もが5.5mになっています。

東日本大震災以降、警戒度が高くなったのでしょうか。

ただ、この周辺にはアニメの画像と同じ形式の表示もいくつも残っています。

アニメと同じ形式の「津波に注意」

このように町は変わっていくのだと思いました。

アニメには出てきませんが、この町の雰囲気を感じていただければと思い、この近辺の画像を少し紹介します。

木造の建物が多く古い街ですが、落ち着いた静かな時間が流れています。

こういったところも京アニのスタッフがロケハンで練り歩いたのでしょうか。

そして、ここから少し歩くとすぐに海に出ます。

コンクリートの堤防があり、『AIR』の雰囲気を感じることができます。

次の聖地へは、この堤防沿いに歩いたところにありますが、結構距離があります。

私は海を眺めながら歩いていきましたが、バスに乗るのもいいと思います。

実際の地名は煙樹ヶ浜といいます。

煙樹ヶ浜

このスポットに関してはこれまでのようにピンポイントでそれそのものが描かれていると言うよりは、「雰囲気が似ている」といった場所です。

それが第11話のこのシーンです。

11話より

観鈴が晴子を母親と認める重要な場面です。

遠くに見える陸地の形は似ていますが、灯台はありませんし、堤防との距離も違います。

灯台に関しては兵庫県香住町には海に突き出た灯台があります。

ロケハンし背景をそのまま写し取るだけでなく、再構成したのでしょうか。

あと、作品内では砂浜ですが、実際は石が多いので非常に歩きづらく、作品の中での晴子のように走ることはできません。

また、この煙樹ヶ浜の近くに神社があり、海に近い神社ということで一部のブログなどでは聖地認定されていますが、階段などもなく少し雰囲気が違うと感じたのでここには掲載しません。

アメリカ村から日の岬

次の場所は、背景に使われたシーンが4箇所固まっているのですが、この煙樹ヶ浜よりさらに西にあり、距離的にもかなり離れています。

私はやはり歩いていったのですが、坂道も多いためバスに乗るのがベターだと思います。

目的のバス停の名前は「アメリカ村」です。

アメリカ村はカナダ人が移住してきたことがその名前の由来だそうです。(なぜカナダ人なのに「アメリカ村」かはわかりませんでした。)

ここは日の岬の先端に近く、これまでの場所からさらに隔てられた地域にあり、より海の町と行った感じで、雰囲気も少し違います。

3話より

海が近く、堤防に囲まれた町です。

第3話のこの夏を感じさせる印象的なシーンです。

青空を背景に手を翼のように広げ、夢の話をしながら歩く観鈴の姿は、可愛らしいくもどこか悲しげです。

『AIR』といったらこのシーン、この構図と思う人もいるのではないでしょうか。

撮影地点がモデルになったかは断言できませんが、この町の雰囲気を見て、この絵が生まれたのではと思わせてくれます。

この高い堤防がある所のすぐ先に、別のシーンのモデルとなった場所があります。

5話より

晴子が観鈴の発作について往人に話すシーンです。

作品内ではそれまでの青い海と空ではなく、風が強い夜の不穏な場面として描かれています。

 

さらにここから西へ数十メートル進んでいくと次のロケ地です。

第5話で聖が往人に美凪の母親の病状について話した場所です。

5話より

堤防の向こうは海です。

また、この撮影地点は私有地です。

私がここを訪れた時、ここのおうちの方が外にいらっしゃったので許可を得た上で撮影させていただきました。

ひじきの選別の作業をされていましたが、お仕事中にも関わらず許可をいただき、また、近くの飲食店などの情報も教えていただきありがとうございました。

往人と聖のいる橋側から見た撮影地点

そして、ここかからまたさらにもう少し進むと、作中と似た雰囲気の場所がもう1つあります。

4話より

みちるがゴミ捨て場を漁っているシーンです。

一応、ここもモデルとなった場所とされていますが、堤防の形や鉄の扉などが違います。

 

美浜町での作中のシーンは以上となります。

しかしもう1つ、『AIR DVD2巻 初回限定版』のジャケットと似た風景が日の岬の先端の方にあるようです。

私は残念ながら場所がわからず、また歩き通しで体力的にも限界だったため行けませんでしたが、近くまで行って写真を撮ってきました。

『AIR DVD 2巻 初回限定版』のジャケットより

写真は高度が少し低いですが 地形が似ていました。

日の岬のもっと先端の標高が高いところまで行けば、ジャケット画像の構図に近い景色が望めるようです。

おわりに 『AIR』の聖地を歩き感じたこと

ここまでは実際にアニメのモデルとなったと間違いなくわかる所、また非常に雰囲気が似ている所を紹介しました。

ですが私自身がこの町とその周辺を歩いて感じたことは、他にもまだモデルとなった場所があるのではないかということです。

『AIR』のアニメを見ていると、全てではないものの、多くの背景が非常に精密で現実感を感じます。

つまり判明していないだけで、実際の風景を元に描かれている場面がいくつもあると思うのです。

例えば第1話のこの橋と似たような橋がいくつかありました。

1話より

ここが聖地だとは言いませんが、この橋だけでなく、上にも挙げた木造の家が立ち並ぶ風景も『AIR]』の中の町と似ています。

なので、分かりやすいところだけでなく、町の細かな風景も綿密に取材し、参考にして描かれたのではないかと感じたのです。

時間があればもっと探してみたいと思っています。

そして、ここで紹介した美浜町とその周辺は、『AIR』の聖地としてだけではなく、純粋に美しい町でした。

また行きたいですし、この記事を見た方もぜひ訪れていただきたと思います。

次回は兵庫県香住町の風景を紹介したいと思います。

 

この記事で使用されている作品画像は2019年8月現在、Amazonプライムビデオで視聴可能なTBSオンデマンドより引用させていただきました。

そのため、その著作権は放送の主体であるAmazonとTBS、原作者であるVisualArt’s/Key、そしてアニメ製作者である京都アニメーション、その他各権利者にあることここに示させていただきます。

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