和歌山県の御坊市は、県内では中規模の海に面した町で、世界遺産・熊野古道の一部でもある。
また、能や歌舞伎などで知られる道成寺のある町だ。
日本でもっとも短い私鉄の1つである紀州鉄道があり、そのローカル線の雰囲気も旅情に溢れ、終着駅の西御坊駅周辺には寺町の風情が今なお残っている。
華やかな観光地ではないがその素朴で落ち着いた空気な流れる海辺の町は、私が旅行で訪れ歩いていて心地よかった。
今回紹介するお店は、御坊・紀州鉄道の市役所前駅のすぐそばにある『居酒屋けんさん』だ。
紀伊半島の美味を気軽に味わえる居酒屋
2019年の夏に私は御坊を訪れたのは、10年前の夏に紀伊半島を旅行していた際、列車の運休で足止めを食ってしまい目的地までたどり着けずにいた時にご貿易の駅員さんに親切にしていただき、いつかまた来ようと思っていたからだ。
ただ何か目的があったわけではなく、なんとなく町や海を眺めながらブラブラしようと思っていただけだった。
宿は取ったが、何をして何を食べるかまでは考えていなかった。
だからこのけんさんにも、前もって調べたりせず、ふらりと立ち寄っただけだった。
けんさんは一見カジュアルな居酒屋だ。
しかし思いもよらず、自然豊かな紀伊半島ならではの美味を味わうことができた。
採れたて縞鯵の造り
この御坊の町に、なにか美味しい名産品があるかなどは特に意識していなかった。
しかしここは海辺の町、きっと新鮮な魚介でもあるだろうと思い、いつものように「なにかこの土地の美味しいものはありますか?」店員さんに尋ねた。
すると少し考え「今日はこれだね」と言って期待通り、いや、期待以上の一品を出してくれた。
それが縞鯵の造りだ。
ご覧の通り身は一切れが分厚く、とても食べごたえがあった。
普段都会で暮らしているとスーパーなどでどの季節でも手に入るため知らなかったが、縞鯵の旬は夏なのだ。
そのため味も、新鮮で脂の乗りも程よく、魚の美味しさをしっかりと感じることができた。
最初にビールを飲んでいたが、この縞鯵を一口食べ、すぐに日本酒を注文した。
縞鯵の濃厚な旨味と日本酒は最高の組み合わせだ。
熊野牛のバラ焼き
海のイメージのある町で飲んでいたため、再びなにか魚を食べるつもりで次のオススメをうかがうと、魚介類ではない地域の名物、熊野牛のバラ肉を使った、熊野牛のバラ焼きをオススメされた。
バラ肉とは言え、和牛を贅沢にも玉ねぎとともに醤油などこってりとした味付けで焼いたものだ。
食べてみると筋張ったところなどまったくなく柔らかで、濃い味付けにも関わらず良い牛肉特有の甘みがしっかりと感じられた。
こってり・がっつりのこの料理は、飲み会などでこれが出てきたら、誰もが興奮するだろう。
ビールやハイボールなど口の中をサッパリできるお酒が合うと思うし、また、お酒もよいが白飯でいただきたくなる一品だ。
和歌山の地酒『黒牛』
お酒は、ビール以外では地元・和歌山の地酒『黒牛(くろうし)』をいただいた。
『黒牛』は和歌山県海南市の名手酒造のお酒だ。
水は蔵内にある井戸から、米は和歌山県内で獲れた酒米と、地元の原材料にこだわり酒を造っている。
その土地でのもので造ったお酒だから、その土地の食べ物との相性もバッチリだ。
特に縞鯵と一緒に飲んだ、美味しいと感じたので、ぜひとも試してほしい。
紀伊半島の食材を気軽に味わえる
紀伊半島にある和歌山県は大部分が山で、外側は海に囲まれている自然豊かな土地なので、良い食材の宝庫だ
『居酒屋けんさん』は入りやすいカジュアルなお店だが、魚介や熊野牛をはじめ、質の高い食材を使った料理、そして地元のお酒を気軽に味わえる居酒屋だ。
何も知らずに入ったお店だったが、予期せず、旅に良い思い出を加えてくれた。
店舗情報 | |
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店名 | 居酒屋けんさん |
ジャンル | 居酒屋・バー・日本料理 |
住所・地図 | 和歌山県御坊市薗350−24 |
アクセス | 紀州鉄道・市役所前駅から173m |
営業時間 | 17:00~23:00 |
店休日 | 日曜日 |
お問い合わせ | 0738-24-1770 |
ホームページ等 | 居酒屋けんさん(食べログ) |