『一月家』 三重伊勢市

三重県の伊勢は、日本人にとって重要な神社・伊勢神宮のある土地として知られる。

そして、その土地の名を冠する伊勢海老を始めとした海産物の宝庫でもある。

伊勢湾や入り組んだ海岸線のリアス式海岸が特徴の志摩の英虞湾は最高の漁場として知られる。

また海だけでなく、同じ三重県の松阪には、高級ブランド和牛・松阪牛がある美食の地だ。

2016年の伊勢志摩サミットで提供された、地元食材をふんだんに使った料理も記憶に新しい。

そんな良い食材が豊富な三重県の伊勢には、良い居酒屋がある。

伊勢神宮の神聖な雰囲気とはまた違った、肩肘の張らない昔ながらの酒場と行った風情の名居酒屋だ。

それが今回紹介する『一月家』だ。

陽の高い時間から飲める、伊勢の大衆酒場

新元号『令和』が発表された日、私は伊勢神宮にいた。

時期を図ってそこを訪れたわけではなかったが、良い時に良い場所へ行けたと思う。

神宮でのお参りや、新元号の発表で沸き立つ伊勢の地を見て回るのは良い思い出となった。

しかし良い思い出はそれだけではない。

伊勢の名居酒屋と名高い『一月家』でお酒をいただけたことは、伊勢での思い出をさらに良きものにしてくれた。

料理が美味しくお酒が進む。

しかしお値段はリーズナブル。

一月家は古き良き大衆酒場だった。

午後2時の開店から、大勢のお客さんで席がうまる

伊勢神宮は午前5時から参拝ができる。

私も朝の早い時間から外宮、内宮と参拝し、内宮からはそこそこ距離のある伊勢市駅までの距離を、別宮というお宮を参拝しながら歩いて戻ってきた。

かなりゆっくり巡ってきたし、外宮の参道にあるお土産屋
『伊勢百貨店 五豊美』で而今の利き酒もした。

それでもまだまだ陽は高い。

旅行ではその土地の居酒屋を楽しみにしている私としては、お酒を飲めるお店が開く夜までの時間をどう潰そうかと考えていた。

しかし調べてみたところ、目的とする名居酒屋『一月家』は、なんと昼の2時に開店するそうだ。

お酒を飲むにはかなり早い時間だが、これはいかねばなるまいと、すぐにお店を目指した。

私が訪れたのは開店の午後2時を少し過ぎたばかりの時間だったが、店内はすでに多くのお客さんで賑わっていた。

お酒好きの常連さんはもちろん、観光客風の若者、女性の客もたくさんおり、明るく良い雰囲気だった。

席はまだ少し余裕があり、私もすぐにカウンターの席に案内された。

旅行できたというと、親切に応対してくれた。

新鮮な食材の料理はもちろん、定番居酒屋メニューも絶品

お通しはお新香だった。

漬物に塩らっきょうもありこれも美味しく、料理への期待が高まる。

さて何を頼もうかと思ったところ、この一月家の注文法は、席についた時予め渡されるメモ帳に自分で書き、それを渡して伝えるというものだ。

少し緊張しながら湯豆腐を頼んだ。

湯豆腐が美味しい居酒屋は、良い居酒屋だ。

そして一月家の湯豆腐は大変美味しい。

まだ少し肌寒さの残る伊勢を歩いてきた私には、温かい湯豆腐がなおさら美味しく感じられた。

美味しいつまみに相まって、陽の高いうちに飲むビールは最高だった。

早くも次の注文をする。

その土地の食べ物を食べたい私は、注文の紙に何を書いたらいいか分からなかったので、「何が地元のオススメものはありますか」と尋ねた。

すると女将さんが、メニューにあるものを少しずつ盛り合わせにしてくれた。

イイダコ、かしわきも煮、いわし酢、そら豆だ。

こんな優しい気遣いは本当に嬉しい。

居酒屋らしいこれらの料理はどれも美味しく、色んな味が楽しめ、お酒が進む。

特に美味しかったのはかしわのきも煮で、自慢の一品だそうだ。

一月家を訪れたとき、メニューにあったらぜひ食べてほしい。

お酒と松阪牛すじみそ煮

オススメの盛り合わせを食べていると日本酒が飲みたくなり、注文した。

この一月家はお客さんが銘柄から選ぶのではなく、メニューには「日本酒」とだけあり、冷や熱燗など飲み方によって決まったお酒が出てくるタイプの居酒屋だ。

地酒好きの人は少しがっかりするかもしれないが、こういったお酒のラインナップで勝負をしない店の場合は、お店に任せておけば料理にあったお酒が出てくるのでむしろ気軽に安心して飲めると私は思う。

燗酒をお願いし、料理を堪能した。

お昼ごはんを食べていないこともあり、私はまだまだ食べたいと思った。

少しこってりしたものが良いと思い、店に入ったときから気になっていた牛すじみそ煮を頼んだ。

この牛すじみそ煮に使われている牛すじは、なんとご当地のブランド牛・松阪牛のものとのことだ。

味わいは濃い味噌味にも負けない甘み・旨味があり、食感はトロトロに柔らかい。

最高の酒のお供だ。

ここはサッパリとしたお酒を飲みたいと思い、ハイボールを注文した。

こってりとした牛すじと炭酸のハイボールの相性は抜群だった。

神聖な伊勢の地で、ご当地の食材を使った料理ながらも、どこか東京の下町の居酒屋を思わせる味を楽しんだ。

シメは名物カレーライス

一月家は、昼の早い時間からやっているお店なためか、お酒に合う居酒屋料理だけでなく、ガッツリした料理もある。

メニューにはカレーがあり、これもまた名物の一品なのだ。

私はこのカレーも始めから気になっており、お腹が減っていたこともあり、最後は絶対これでシメようと目論んでいた。

お酒を十分楽しんだところで、カレーをいただいた。

これも文句なく美味しく、お酒が少し回った体にはカレーの濃さが身に染みる。

「居酒屋でカレー?」と思う方もいるかも知れないが、これも絶対に食べてほしい一品だ。

私はこれで、お腹も気持ちも満たされた。

こんなメニューに出会うと思っていなかったが、一月家は思わずアレもコレも食べてしまう本当に美味しく飲んで食べられる居酒屋だった。

しっかり食べられる明るい雰囲気の居酒屋

新元号発表の日の伊勢は、どこか浮き立つものがある1日だったと思う。

この一月家も例外ではない。

私がお酒を飲んでいると、隣の常連さん思われる3人組のお客さんが話しかけてきて、私が旅行できたと言うと、嬉しそうに「良い時に来た」とお酒を仰いでいた。

私も嬉しくなったが、このお店はこの日だけではなく、きっといつでも気持ちのいい明るさと活気に満ちているんだろうなと思った。

料理が美味しければ酒もうまい。

そしてそれを楽しむ人々。

一月家はそんな単純な良さがある居酒屋なのだろう。

店舗情報 
店名一月家
ジャンル居酒屋
住所・地図三重県伊勢市曽祢2丁目4−4
アクセス宮町駅から283m
営業時間14:00~22:00
店休日水曜日
元日
お問い合わせ0596-24-3446
ホームページ等一月家(食べログ)
最新情報をチェックしよう!