本州最北端の県庁所在地である青森市は港街だ。
駅前には近代的な商業ビルと昭和の商店街が混在した町並みが見られ、そこから北へ少し行くと青森港がある。
青森港には三角形の特徴的な形をした建物・青森県観光物産館アスパムがそびえ立ち、今回紹介する『居酒屋ふく郎』はそのほど近くに店を構えている。
ここでは、北国の港街ならではの新鮮な魚介を中心に地元で採れた野菜などを使ったハイレベルな料理、そして美味しい地酒を味わうことができる。
春の津軽を食す
私が青森に行ったのは3月の終わりで、その年はもう街に雪はなかった。
東京に比べれば寒いものの、その寒さの厳しさはすでに北国のそれではなく、春の訪れを感じさせるもので、それはお店の食材にも見て取ることができた。
野の春ふきのとうと海の春ボタンエビ
その日の1番客としてカウンターに案内され席につくと、お通しで出てきたのはなんと、ふきのとう天ぷらだった。
お通しで作り置きのできない天ぷらが珍しいこともあったが、それが春の訪れを告げる味覚の代表、ふきのとうの天ぷらだったから驚いた。
もちろん、期せずして春を味わうことができた嬉しい驚きだ。
野の春の次は、やはり海の春を楽しみたい思いオススメを聞いたところ、ボタンエビが採れたばかりだということでそれをいただいた。
ボタンエビは鮮魚店などで一年中販売されているが、地域によって旬が異なり、青森や海を渡った函館では春はオス、秋はメスが旬とされているらしい。
私がいただいたのは、青森県の日本海側の深浦でその日のお昼に揚がったばかりのもので、新鮮そのものだった。
まさに採れたての旬の味覚で、こういったものはその土地に行かなければ味わえないものだ。
しかも値段も680円と質を考えたら非常にリーズナブルだった。
さらにオススメを尋ねると、今度は青森産の長芋の千切りがいいとのことで、これもいただいた。
これもまた美味しく、よくお酒に合った。
新鮮な北国の食べ物が、とても美味しく楽しむことができた。
津軽の郷土料理「貝焼き味噌」
青森に来たらぜひ食べたいものがあった。
それは津軽地方や下北地方あたりの郷土料理「貝焼き味噌(かやきみそ・かやぎみそ)」だ。
ホタテを刻み、ネギなどの野菜と一緒に味噌で和え火にかけ、卵でとじる料理で、この地域で古くから食され、津軽出身の文豪・太宰治の小説『津軽』にもこの貝焼き味噌を食べる描写がある。
味付けなどは地方やその家によって様々だが、見ての通り、貝をそのまま器として使う豪快な料理だ。
食材の出汁や味付けのみそで味は濃厚で、まさに北国の料理といった味わいだ。
貝と味噌の濃厚な旨味は日本酒にぴったりだった。
地酒も良いものがそろっている
ここまで紹介した料理を旨い酒とともに食し、その味は格別だった。
私はこのふく郎で3種類の日本酒をいただいた。
まずは「田酒」。
青森市の西田酒造店のお酒で、その飲みやすさから非常に人気のあるお酒だ。
次に「豊盃 愛娘(めご)」。
豊盃は弘前市の三浦酒造のお酒で、地元に根づいた青森県を代表するお酒だ。
「愛娘(めご)」は、このふく郎さんがオリジナルでつくってもらっているお酒で、豊かな味わいながらキレが良くスルスルの、料理にとても合うと感じた。
最後に飲んだのは「天弓」だ。
天弓は山形の東の麓酒造のお酒だが、話を聞いたところ青森杜氏が造っているとのことだ。
「愛娘」よりもやや淡麗だった。
地酒とともに北国青森の季節を味わえるお店
「居酒屋ふく郎」は地酒とともに、その土地のその季節の食材が美味しくいただけるお店だった。
そして食材だけでなく、料理のレベルも高い。
しかもその質の高い料理の割りに、値段はお手頃だ。
駅からも近いので、青森を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてほしい。
私もまた青森に行ったらふく郎に行きたいと思う。
それどころか、ふく郎で飲むために青森に行きたいと思っているくらいだ。
店舗情報 | |
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店名 | 居酒屋ふく郎 |
ジャンル | 居酒屋 |
住所・地図 | 青森県青森市安方1丁目10−12 |
アクセス | JR青森駅から徒歩10分 青森駅から551m |
営業時間 | 月~金・祝日前 17:00~23:00 土 17:00~22:00 |
店休日 | 日曜、祝日 |
お問い合わせ | 017-777-3988 |
ホームページ等 | 居酒屋ふく郎(食べログ) |
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