『喰処 北洲』 秋田県秋田市

秋田市随一の歓楽街「川反(かわばた)」は駅から少し離れている。

JR秋田駅西口に出て、そのまま西の県庁・市庁方面に道なりに進んでいくと旭川に出会う。

その川を渡ると左手に飲食店や夜のお店が軒を連ねる「川反」とよばれる一角があり、そこに『喰処 北洲』が店を構えている。

私はここで、秋田の美味しい料理とお酒、そして人情深い暖かなおもてなしを受けた。

オススメを見繕ってもらい、旬の食材も味わう

私がこの時秋田を訪れたのは、青森の『ふく郎』と同じ時期の春先だった。

お店に入ると、カウンター席に案内され、陽気な女将さんがすぐに注文を聞いてくれた。

私は居酒屋で注文するとき、特に旅先だと、「その土地のもの」「旬のもの」「お店のオススメのもの」を素直に聞いて、適当に見繕ってもらうことが多い。

そのほうが知ったかぶりをしてアレコレ注文するよりも、自分の知らなかったその土地の美味しいモノが食べられるし、お店の人とのコミュニケーションにもなることもあるし、何より楽だからだ。

北洲では女将さんが色々とお話をしてくれ美味しく、楽しく料理とお酒を楽しむことができた。

豪勢なお通しと、春の山菜の天ぷら

私はお通しにはあまりこだわらないが、それでも思いもよらぬ美味しいものが食べることができたら嬉しい。

北洲でいただいたのは、そんな嬉しいお通しだった。

美しく可愛らしい盛り付けで、3種の小品が出てきた。

名前は忘れてしまったが、右側の小さな貝はサザエを濃厚にしたような味わいで、この一品だけでも美味しくお酒が飲める料理だった。

それに合わせてノビルや葉物野菜がバランス良く盛り合わせてあることに、きめ細やかな心遣いを感じた。

お通しを美味しく味わい、料理への期待が高まったところで、次のオススメの品物をいただいた。

山菜の天ぷらだ。

私は春の山菜の天ぷらが大好きで、毎年これを食べて春の訪れを感じる。

その山菜の天ぷらをオススメされ、今日はどんな山菜があるかと聞くと「せり、タラの芽、ふきのとう」という、山菜の中でも私が特に好きなものだったので、迷わず注文した。

ご覧の通り、大盛りと言えるほどの天ぷらを抹茶塩でいただき、お酒を飲んだ。

もちろん味も香りも最高で、私はご満悦でぺろりと平らげた。

旅先で季節のものを食べることは、本当に快いことだと思った。

秋田で採れたホヤとあわび茸

お通し、天ぷらとお酒の進む料理をいただき、さらに美味しく飲みたいと思い、「お酒に合うもの」をうかがった。

するとホヤの酒盗あわび茸の塩焼きが良いとのことだったので、それをいただいた。

ホヤというと三陸だが、どうやら秋田の男鹿半島あたりでも採れるらしい。

そんなホヤの酒盗となれば日本酒に合わないわけはない。

あわび茸は台湾などのどちらかといえば暖かい地域のきのこらしいが、秋田でも「白神あわび茸」という高級品が栽培されているらしい。

私が食べたものがそれかはわからないが、ジューシーで非常に美味しかった。

秋田といえば塩魚汁(しょっつる)鍋

まだまだ食べられるが、そろそろシメに入ろうと思い、そして店に入ったときから狙っていた品を注文した。

塩魚汁(しょっつる)鍋だ。

しょっつるとは、秋田でよく食べられるハタハタという魚で作った魚醤で、しょっつる鍋はその魚醤とハタハタを使った鍋で、いわば秋田の郷土料理だ。

ここ北洲では、一人前から提供してくれるから嬉しい。

またもう一つの秋田名物、きりたんぽとも迷ったが、やはりしょっつる鍋だ

3月は秋田でのハタハタの旬からはずれているが、それでもこれを食べたかった。

しょっつるや少しぬめりのあるハタハタの身は好き嫌いはあるだろうが、私としては味も文句なく美味で、その土地の料理を食べられた喜びが大きかった。

そしてさらに、鍋物のあとと言ったら絶対に外せない楽しみがある。

それはおじやだ。

しょっつるとハタハタから出た旨味が凝縮されたおじやは本当に美味しく、お酒のシメとしてももってこいだ。

お酒のあとのこのしょっつる鍋のおじやは至高の一品で、これがメインディッシュとさえ言えるほどだ。

秋田でお酒を楽しんだときは、ぜひこれを食べてほしい。

秋田の郷土料理で、米どころ秋田の地酒を飲む

北洲は地元・秋田の地酒がそろっている。

もちろん私もそれらをいただいた。

ここでいただいたのは3種類の日本酒だ。

  • 『白瀑 山本純米吟醸』山本合名会社 秋田県山本郡
  • 『福禄寿 一白水成 純米吟醸』秋田美酒福禄寿酒造 秋田県南秋田郡
  • 『雪の茅舎 美酒の設計 純米吟醸』齋彌酒造店 秋田県由利本荘市

どれも米どころ秋田らしく、美味しいお酒で、雪国の酒だという感じがした。

細かな銘柄はその時時で変わるようだが、ここ北洲の日本酒のチョイスは、どれを飲んでも間違いないものだろう。

料理に合うお酒を聞いて選んでもいいかもしれない。

温かい雰囲気の中で、秋田の郷土料理をいただけるお店

ここまで紹介した料理もお酒も抜群に美味しかった。

『喰処 北洲』は、北国・秋田の郷土料理とお酒を味わいたいという方にオススメの居酒屋だ。

そして私個人的には、お店がそれほど込んでいない時間ということもあったが、よそ者の旅行者である私にとても親切にしてくれた女将さんとお話できたことが思い出に残っている。

味だけでなく、旅のひとときを本当に良い心持ちで過ごすことができた。

再び秋田を訪れた際には、ぜひまた立ち寄りたいと思っている。

店舗情報 
店名喰処 北洲
ジャンル居酒屋・郷土料理
住所・地図秋田県秋田市大町四丁目1番11号
アクセス秋田駅西口から中央交通バス県庁方面行、「交通公社前」下車、川反通りに入り徒歩3分。
秋田駅から徒歩約20分
秋田駅から1,099m
営業時間平日:17:30~23:00 (L・O 22:30)
夜10時以降入店可
店休日日曜日
連休の時は月曜日をお休みとします
年末年始・お盆休み
お問い合わせ018-863-1316
ホームページ等喰処 北洲
最新情報をチェックしよう!