9月から受験勉強を始めても慶應義塾大学に合格できます。
ソースは俺。つまり私の実体験です。
はじめに
一般に「夏休みは受験の天王山」「夏休みを制するものは受験を制す」と言われます。
受験勉強において、特に現役生にとっては、夏休みという時間を自分でどう使うかが、受験に合格できるかどうかの分かれ目になるということですね。
また、一部ネット(特に某巨大掲示板)では俗に、「MARCHは3ヶ月」「早慶は半年」と言われていますが、これは現実的ではないともされています。
しかし私は、ほぼ無勉強の状態で9月から受験勉強を開始して、慶應義塾大学と法政大学に合格しました。
慶應の受験日は例年2月の中頃なので、大体5.5ヶ月です。
つまり「早慶は半年」というのは事実です。
ちなみに受験したのはこの2校だけで、学部、慶應・法政ともに文学部です。
どのようにして合格したか、その結論を述べれば大きく分けて以下のことをしました。
- 問題文をしっかり読む。
- 何度もテストして、満点が取れるまで繰り返す。
この2つです。
これがどういうことか、この記事では、私の当時おかれていた状況や、受験勉強にどう取り組んだか、その取り組み方や意識の持ち方をお話しますので、参考にしていただけたらと思います。
文学部以外、又は慶應以外を受験するという方の参考にもなると思います。
またここでは、私の勉強法に適していて、実際に使った参考書などの紹介はしますが、基本的に「合格には〇〇の参考書が必要!」という言い方はしません。
というのも以前とは違い、今はネットで調べれば質の高い参考書を簡単に見つけることができるので、どれを使ったから合格した、又は不合格になったということはないと思います。
それよりも、ネットで調べた評判の良い参考書の中から、書店などで実際に見てみて、自分のレベルや勉強の仕方に合いそうだと思ったものを選び、その1冊をしっかりとやり遂げることのほうが重要です。
9月から受験勉強を初めて慶應に合格した私の状況
私のおかれていた状況
私が受験したのは、現役ではなく浪人です。
ただ、怠けていたとかいうのではなく、単純にお金が無かったのです。
ですので、大学に合格する年も8月いっぱいまでフルタイムで働いていましたし、9月以降も、ちょっとお金が必要だというときには、日雇い派遣で働いていました。
何年か前『ビリギャル』が話題になり書籍化し様々なメディアで紹介され、果ては映画化までされました。
私はどれもしっかりと見ていませんが、親がかなりお金をかけて、1年間しっかりと受験勉強ができる環境を整えていたようです。
そこでしっかり努力した本人も凄いのですが、おそらく状況的にも得た結果も、私のほうがハードなものだったのじゃないかなと思いました。
実際、『ビリギャル』は文学部は不合格だったようですが、私は半年足らずで合格しています。
ここで言いたいのは「俺のほうが凄いんだ!」ということではありません。(ちょっと言いたい気持ちもありますが笑)
しっかりやれば短い期間でも結果を出せるということと、もしこの記事を読んだ方で慶應を受験するという方がいたら、「9月から始めても大丈夫」ではなく、一分一秒でも早く、目的に向かって努力を開始してほしいということです。
またちなみに、私立大学は学費が高いという印象を持っているとい方も多いと思います。
ですが、早慶の文系に関しては私立の中でも安く、日本学生支援機構以外の学内の奨学金も充実しています。
そして当時の早稲田ですが、学長か誰かが「とにかく合格してください、合格すればお金はなんとかします」と言っており、それを知った私の親は、大学に行くなら「早稲田か慶應にしてくれ」と私に言いました。
センター試験は受けない
まず初めに、私が9月からの受験勉強で慶應に合格できた,勉強法以外の大きな理由の1つを説明します。
言わば種明かしとも言えます。
それはセンター試験を受験していないということです。
慶應を受験しようという考えている受験生であれば、そのほとんどがハイレベルの国公立を受験しようと考えていると思います。
むしろそっちのほうが第一志望かもしれません。
しかし私の場合、入試までの時間がないので、5教科7科目勉強しなければならないセンター試験は受けないことに決めていました。
今後の「大学入学共通テスト」がどのようなものになっていくかはわかりませんが、私のように時間がない方は、そういった判断も必要だと思います。
しかし、もし私に時間があったなら、絶対にセンター試験の勉強もします。
理由は、国公立も目指したいからと言うこともありますが、幅広い教科を学ぶことは、大学のどの学部で何を学ぶことになっても絶対に役に立つと思うからです。
個人的にも、大学で文学作品を読んでいて「数学や理科をもっと勉強しておけば」と思ったことは何度もありましたし、哲学・思想などでは数式がしょっちゅう出てきます。
そして、もっと本質的にそれが教養だと思うからです。
ですので、「絶対この学校(早慶など)に行きたい」とか「よっぽど時間がない」という方以外は、センター試験、今後は大学入学共通テストの勉強をすることをおすすめします。
予備校に行くべき理由、行かなくていい理由。
受験において、予備校に通いどんな授業を取るかは受験の結果に大きな影響を与えるとされています。
私は予備校に行きました。
そして、行ってよかったと思っています。
ちなみに私は通年のコースではなく、週数コマ単科授業を取りました。
しかし現在、予備校には必ずしも行く必要はないし、行かなくても勉強ができるのではないかと思っています。
予備校に行くべき理由
まずは予備校に行くべき理由ですが、それは1つです。
それは受験に向けて正しい情報が手に入りやすいということです。
例え話をします。
筋トレとしようと思ったらどうしたら良いでしょうか。
自宅で腕立て伏せやスクワットをすればそれなりに効果があり、筋力アップします。
しかしより効率的に、もっと強い筋肉を付けたいのならば、スポーツジムに行ってトレーナーに指導してもらうべきです。
ジムに行けば効率の良い正しい方法で、普通の自宅にはないバーベルやマシンなど様々な器具を使って筋トレを行うことができます。
自宅でするのとジムに通うの、どちらが良い結果を得られるかわかると思います。
受験勉強も同じです。
受験勉強のトレーナーである予備校の講師は膨大な受験のノウハウ・攻略法を持っており、学校ごとの試験問題の効率の良い解き方などを教えてくれます。
また過去問にしても、自分で買うことのできるいわゆる「赤本」には、せいぜい直近の数年分しか掲載されていないことがほとんどですが、予備校に行けば10年分20年分の過去問が手に入ります。
これらは受験において強力な武器になります。
以上が予備校に行くべき理由です。
ついでに、少し厳しいことを言いますが、もし予備校に行く理由として「家では勉強できないが予備校なら勉強できるから」と考えている方がいたらそれは甘い考えで、その人はおそらく9月からの勉強で合格することはできません。
少なくとも私の実体験では、予備校を最大限に利用しつつ自分を律し、家はもちろん、どんな場所でも勉強に取り組まなければ良い結果は得られません。
予備校に行かなくていい理由
上では予備校に行ったほうが良い理由を説明しました。
しかし私は、必ずしも予備校に行かなくても良いんじゃないかと考えています。
その理由はインターネットと勉強方法です。
ここではそれについて説明します。
まずインターネットです。
私の受験当時もインターネットはありました。
そんな昔のことではないです(笑)
ですが、受験に関しては今のように情報が沢山あったわけではありません。
例えば過去問は、現在は予備校の公式サイトなどに登録すれば、無料で様々な学校のものが、かなり古いものまで手に入ります。
しかし、以前はそうではありませんでした。
私は慶應の過去問は、最新の赤本と古本の赤本、そして予備校の「慶應英語」といった科目でかなり古いものを手に入れることができました。
この過去問を得ることができたのが、私が予備校に行った大きなメリットでした。
ただ先程も説明したとおり、今はネットで無料で手に入れることができます。
過去の赤本にしても、私は古本屋を周り見つけましたが、今ではAmazonなどで比較的簡単に見つけることができます。
これが予備校に行かなくていい理由の1つ目です。
次に勉強方法です。
先程筋トレの例で説明しましたが、目指す目的には正しい方法があり、それはトレーナー(プロや専門家)に学ぶべきです。
しかしそれも、私の経験から、受験に関してはある程度は自分の力でできると感じました。
まずは、それもインターネットに関係する部分もあります。
現在は大手予備校はもちろん、それよりも安価なネット予備校で自宅にいながら受験のプロの授業を受けることができます。
また、受験関係のサロンのようなサイトやYoutubeなどの動画サイトでは、ノウハウや受験に必要なエッセンスを見つけることができます。
それこそ、予備校の講師が持っており、かつては予備校や一部の進学校に行かなければ得られなかったようなものもです。
そのノウハウやエッセンスを得るという点では、たしかに今でも予備校のほうが有利かもしれません。
しかし、ネットのしかも安価や無料でもできないことはありません。
そして重要なのは、そのノウハウやエッセンスというのは何も誰かから学ばなけれないけないものではないということです。
それは決して受験だけの特殊なものではなく、大学に入ってからの勉強はもちろん、それ以外の普段の生活や社会生活でも必要な普遍的なものです。
そして、それは誰かから教えてもらことも大切ですが、主体的に勉強をし、できる限り自分で身につけていくほうが有効です。
具体的なことついては教科ごとの勉強法のところで説明します。
以上が予備校に行かなくてもいい理由です。
以前より、予備校の優位性はなくなってきていると思います。
少子化ということもあるでしょうが、実際に大手予備校である代々木ゼミナールは、全国で校舎が閉鎖されています。
時間や金銭的に余裕のある方は予備校に行くのも効率的で有効だと思います。
しかし現在はより安価で、予備校並みの勉強をすることができます。
そして、出来る限り自分でしたほうが学びも大きいということもあるのです。
9月から慶應に合格するための教科ごとの勉強法
ではここからは具体的な勉強方法です。
慶應の問題傾向、参考書、私が実践した方法を交えて説明していきます。
慶應義塾大学文学部の受験科目は外国語・地歴・小論文の3つで、科目・内容ともに非常に特殊な構成です。
文学部なのに国語がありません。
また、英語は紙の辞書を2冊まで使用可能です。(私はジーニアスの英和と和英を使用しました。)
なので、特別な対策が必要と考える方もいると思います。
確かに準備が必要ですが、過去問でカバーできますし、基本的に身に付けなければならないことは、レベルの高さはありますが他の大学とそれほど変わりません。
むしろ、慶應の文学部を視野に入れつつ勉強をすれば他大学の受験はもちろん、今後大学で学習するに置いて必要な基本的な能力を身につけることができるとさえ言えます。
私が選択したのは外国語は英語、地歴は日本史、そして小論文です。
以上を中心に受験勉強をしましたが、それに加え現代文をしていました。
そして法政大学ように古典をほんの少しだけやりました。
意外に思う方もいるかも知れませんが、法政に現代文があるからしていたわけではありません。
それどころか慶應の受験科目にない現代文ですが、私は一番重要だと考えています。
それについては後ほど説明いたします。
ここでは各教科の私がしていた勉強法を紹介します。
また最後に、過去問の使い方や受験勉強への意識の持ち方、そして休み方なども合わせて紹介したいと思います。
英語
英語は文章を丸暗記
英語は配点も高く、また求められる難易度の点でも最も力をつけなければならない科目です。
慶應は英語ができなければ受からないとさえ言われていますし、一般的にも英語は大学受験においてメインディッシュです。
通常の受験勉強では、遅くとも夏までには単語や文法を固めて、それ以降は複雑かつ実践的な読解へ進む、といった流れかと思います。
しかし、9月から勉強を始めた私の場合はそんなことをしている余裕がありませんでした。
ですので、私は最初から読解に使用されるような文章や、単語集でも単語が羅列してあるだけでなく、できるだけ長い文章が載っている単語集や参考書を使用しました。
なぜかといえば、そういった参考書の多くは実際に入試で使用されたものから抜粋されているものが多く、そこに書いてあるものを理解できれば、自然と受験のレベルに対応できるようになると考えたからです。
では、具体的に何の参考書を使い、どの様な部分に意識して勉強したかを説明します。
例えば、Z会の『速読英単語』です。
必修編は高校在学時配布されたもの、上級編は自分で購入しました。
これらは主に実際の入試問題で使用された文章の1部がいくつも載っており、そこに受験で必要な英単語がバランス良く配置されています。
他にも熟語や文法事項など、単語ほど詳しく解説されてはいませんが、学習することができます。
この本の良いところは、左ページに英文があり右ページに日本語訳があるので、どの単語や文が何を意味しているのかすぐに確認できるところです。
ただ、先程も言いましたが「これを使え!」というわけではありません。
受験英語に必要な様々な要素が詰め込まれている教材を使ったほうが良いということです。
私はこれらをひたすら読み、内容を覚えました。ほぼ丸暗記です。
文章の暗記なんてできないと思った方もいるでしょうが案外簡単で、むしろ単語だけ覚えるよりもストレスが少ないです。
それに丸暗記と言うと、何もなくても全部言ったり書き出したりできると思う方もいるでしょう。
それもある程度、自然とできるようになりましたがそこまでではありません。
文章の最初を読み始めると「この文章はこういった論理展開で、こういう単語や文法、構文が使用されている」と言ったことを思い出せるというくらいです。
やり方は本当にシンプルで、ただ繰り返し読んだだけです。
当時はあまりやりませんでしたが、今だったら絶対に音読をします。
そうすればさらに効率よく英語力を身につけられたと思い、今になって少し後悔しています
それでは、どういった点に注意しながら行うかを、もう少し詳しく説明します。
単語
長文の様々な文脈の中で単語に触れていけば、単語だけ暗記するより実践的な意味や感覚を掴むことができます。
Z会の『速読英単語』は正にそれに適した参考書です。
ただその単語の意外な意味や使い方、特に多義語は、単語帳的な解説にも何度も目を通しておくべきです。
文法
慶應の文学部の問題は、細かな文法知識を問うような問題がほとんどありません。
ですので細々とした形式的な知識より実践の中で覚えていったほうが効率的です。
ですが、文法解説書や文法問題集などもこなした方が基礎が固まり、力が伸びるというのも事実です。
また文法事項の細かな知識を問う問題が出題される大学も多いです。
ですので普通の「文法→長文」ではなく「長文→文法」と言った流れでしっかり身につけてください。
「理論→実践」ではなく「実践→理論」で、そこからまた「実践」です。
結局、理論と実践を往復することになるのですが、「実践→理論」の流れでフィードバックする感覚を身に着けてください。
フィードバックの感覚と速さが非常に重要です。
すべての教科に言えることですが、勉強ができない人はこのフィードバックが非常に苦手です。
特に受験においては、夏までに基礎を固め、秋以降に実践・応用をしたところで1月からの入試のシーズンを迎えてしまう人が多いようです。
つまり「実践→理論」のフィードバックがないのです。
フィードバックとは別の言い方をすれば反省です。
わからない部分を反省しないまま先に進んではいけません。
反省し、修正した回数だけ学力が伸びます。
私は長文から初めたのは苦肉の策でしたが、そのために自然とフィードバックができていました。
私がフィードバックに使用したのは、これも高校で配布された桐原書店の『大学入試英語頻出問題総演習』です。
これに掲載されている文章はどれも短いですが、ピンポイントで復習するのに適しています。
また文法だけでなく、次に説明する構文・熟語、その他にも語法・語彙・発音・並べ替え問題など、オールインワンの問題集だと思います。
構文や熟語
これらは文やその意味の表現の形です。
これを覚えなければ、その文章が何を言っているのか意味を掴むことができません。
これについても私は先程あげた『速読英単語』と『大学入試英語頻出問題総演習』
で大体カバーしました。
勉強の仕方も単語や文法と同じで、長文の中でひたすら覚え、わからないところはフィードバックして、解説が載った参考書で確認です。
しかし、構文に関しては高難易度になると弱いと感じていた私は、お金がなかったので友人から参考書を借りました。
そのタイトルを覚えていないのは申し訳ないのですが、内容は、高難易度大学入試に必要な構文が50とか100とか数多く掲載されているものです。
使用されている文章も1、2行ではなく5~10行程あるもので、解説も詳しくされていました。
類似参考書があると思うので探してみてください。
また、私は使用しませんでしたが、『速読英単語』熟語版で『速読英熟語』というものもあります。
熟語や構文などはこういったもので勉強して良いかもしれません。
論理展開
これは英語に限ったことではありませんが、文章には論理展開があります。
長い文章で、筆者が何を言いたいか、何を主張しているかをしっかり把握する必要があります。
この力を身につけるには1、2行の文ではなく、まとまった量の文章を読む必要があります。
特に受験英語は独特の論理展開をするものが多いので、『速読英単語』のように入試問題から抜粋されたある程度まとまった文章に慣れておく必要があります。
これは『大学入試英語頻出問題総演習』の問題では身に付きにくい力です。
特に慶應文学部の英語は文章量も多く、問題も英語の知識を問うものではなく、文章の意味を把握し、日本語で要約するというのがメインの問題です。
英語だろうと日本語だろうと、長い文章を論理的に把握する力が求められます。
「長文中心で、暗記するほど読んだほうが良い」というのはこういったことです。
また、詳細は後ほど説明しますが、現代文が必要なのもこういった点です。
これに関しては読む文章量を増やすために、私は友人から借りた『話題別英単語リンガメタリカ』を使用しました。
時事問題な、受験で使用されやすいトピックの文章が読める点も良かったです。
以上のことは慶應文学部だけではなく、他大学の受験の際にもも求められる基本的な学力を身につけるのにも有効です。
ですが、慶應文学部は特に文の論理や主張の把握が重要になってきます。
次はその実践的な方法です。
慶應文学部の英語は現代文のように解く。最初に問題をしっかり読む。
ここでは、実際の試験の際に有効な問題の解き方を説明します。
ここでは、実際の試験の際に有効な問題の解き方を説明します。
結論から言うと、問題(問い)を最初にしっかり読み、その意図を理解するということです。
そしてそのやり方は、日々受験勉強をこなしていく中でも重要な考え方なのです。
慶應文学部の入試問題は特殊です。
1つ(年によっては2つ)の英語長文をじっくり読んでいくという出題形式です。
しかも、英語なのに英語の知識はほとんど問われません。
それは辞書の持ち込みができることからもわかると思います。
ではなにが求められているかというと、英語の文章を論理的に読み、その全体の要約や文章がしている主張を読み取ることです。
それは、国語の現代文を解くようなイメージです。
私はこれが、慶應の文学部なのに国語の試験がない理由の1つだと考えています。
言語を問わず、長文の大意を把握し、要約する力が求められているのです。
1つ難関大学の現代文と違うとすれば、回答者(受験生)の主張や考えが求められないことかと思います。(そちらは小論文で求められます。)
では、基本的な英語力と論理展開を把握する力をつけたところで、実際に問題を解く方法を紹介します。
それは最初に問題から読むことです。
大抵の受験生は試験が始まると同時に長文を読むことに取り掛かり、傍線や()で指示された箇所にたどり着いて初めて、問題文(問い)を読みます。
しかしそれではダメなのです。
絶対に解けないというわけではありませんが、膨大な文章量をこなすことが難しくなります。
また、そのやり方は本質的ではありません。
どういうことか説明します。
英語だけではありませんが、受験生のするべきことは問題を解くということです。
当たり前のこと過ぎて何を言ってるかわからないかもしれませんが、実は多くの受験生がこの事を理解していません。
先程言いましたが、「長文を読んでから問題文を読む」という行為は、正にこの本質的なことを理解していないということです。
また例え話をします。
例えば、課された作業(問い)が「指示された場所から指示されたモノを取ってきなさい」だとします。
ここで知りたいことは「場所」と「モノ」です。
いくら早く走れたり、長い距離を進めるほどの体力があっても、この2つがわからなければその作業は完遂できません。
ですので最初に「場所」と「モノ」を知らなければなりません。
そして知っているのは課題の出題者です。
「どんな場所にあり」「どんなモノなのか」という指示を、課題の出題者に聞く必要があります。
もう分かるかと思います。
その指示が入学試験においては問題文なのです。
いきなり長文を読み始めてしまうことは、「場所」も「モノ」もわからないまま出発してしまうようなものなのです。
世界中をくまなく探して、つまり長文を全部読めば「場所」わかるかもしれません。
しかし何が求められているか「モノ」がなにか知っていなければ目的(問題に解答)を果たすことはできないのです。
問題(問い)とは出題者が受験生に求めていることそのものであり、受験生はその要求に答えなけれなならないのです。
つまり、入試問題の本体は長文ではなく問題(問い)なのです。
だから最初に問題をじっくり読まなければならないのですが、このことをしっかりと理解している受験生は驚くほど少ないです。
また、実は設定されている問題(問い)は課された長文の要約になっています。
例えば以下のような問題(問い)があったとします。
- Aさんは何故怒っているか答えなさい
- Bさんは何故泣いているのか答えなさい
- AさんとBさんは何故2人で笑っているのか答えなさい
どうでしょう。
これはかなり雑で簡単な例に過ぎませんが、問題を読んだだけでお話の大筋が想像できるのではないでしょうか。
これは受験の問題でも同じです。
問題文(問い)を読むと、長文の大まかな内容と流れが分るのです。
何もわからない迷路と、道順が大体わかっている迷路ではどちらが簡単にゴールできるか明らかです。
問題を先に読み理解しておくと、速く問題が解けるということです。
またさらに、「良問」とは本質的で重要なことを問うてきます。
それはつまり、出題者が長い文章の中で絶対に外してほしくないポイントです。
問いを読めば、目の前にある文章の重要なポイントもおおよそ把握できるのです。
本を読む時、目次をじっくり読んだほうがいいといいます。
それは「目次=各章のテーマ=重要な箇所」だからです。
目次には、その本の大体の構成と内容が書いてあるのです。
入試問題の問いも同じです。
慶應文学部の英語の入試問題で、1番骨の折れると思われる要約の問題も、この重要なポイント=問題文を頭に入れ、そこを中心にまとめていけばできます。
ですから問題を先に読むことは、速く正確に長文を読み、出題者の要求(問い)に答えることができるということなのです。
また、これができれば1問は出題される英作文も恐れるに足りません。
英作文の問題は当然日本語で指示されていますが、その時に必要な表現は本文中にほとんどそのままあります。
例えば「『Aさんはケーキをもらって喜んでいます』を英文にしなさい」といった問題なら、英語の本文中には「Bさんはおもちゃをもらって喜んでいます」というふうにほとんど同じ表現があるので、それを必要に従い書き換えればいいだけです。
単語がわからなければ辞書を使えばいいだけなのです。
実際はもっと複雑な文ですが、要領はこんな感じです。
以上が慶応大学文学部の英語の入試問題ですが、英語というよりはかなり現代文のような問題です。
私が初めからまとまった長い文章で単語や文法を覚えていったことや、入試科目にないにもかかわらず現代文が重要と言ったのもこういうことなのです。
日本史
慶應文学部入試の地歴は日本史と世界史からの選択です。
受験戦略的には世界史を選択肢たほうが良いとされています。
なぜなら世界史は日本史に比べると、求められる知識が広く浅くなるからです。
一方、日本史は深い知識が求められる上、それを試すような論述問題が出題されます。
基本的に世界史には論述問題がありません。
またさらに、日本史は史料問題が出題されます。
つまり、古文のような文章を読み解き答えるという、ややハードルの高い作業をしなければならないのです。
私はこれを知らなかったので、適当に日本史の勉強を始めてしまい、冬休みから通った予備校の日本史の授業で初めて知りました。
ただ、これから受けようと思っている受験生は得意な方を選べば良いと思います。
また、これから説明する私の勉強法は、日本史だけでなく世界史にも対応できます。
それでは、私が実際にした勉強法を紹介します。
日本史は自分でテストを満点が取れるまで繰り返す
歴史科目は基本的に暗記問題と言われます。
本質的な歴史理解のため、又は受験においても論述などを考えると、厳密には単なる暗記だけで良いとは言えません。
しかし、受験では歴史事項の知識が問わるので、暗記要素が物を言うということ否定できません。
論述問題にしても、知っている知識を元にして答えるので、やはり知識の詰め込み=暗記が重要です。
そのため、歴史科目の問題集の多くは一問一答形式のものや、虫食い文章の穴埋め問題です。
そして受験生も、ひとまずここから始めることが多いでしょう。
さて、早速ですが私が最初にやった方法はテストです。
暗記カードや赤シートは一切使っていません。
暗記カードや赤シートが1問1問確認していくのに対して、テストは一定の分量をまとめてインプットして、その成果をまとめてアウトプットすることです。
そして、点数をつけることです。
私はそれを繰り返しました。
具体的にどうやったかを説明します。
一問一答形式の問題集を開き、左右のページにそれぞれ15問づつの合計30問あるとします。
最初は何も見ないで問題を解いてください。
実際に書いてください。
すると酷いもので、私は5問くらいしか正解していなかったりしました。
ですので直後に解答を(あれば解説も)ざっと読みます。
その時、自分の中で大きく分けて2種類の反応があります。
「たしかにそうだった!これは知ってる!」と思い出すことと、「なんだこれ?初めて知った」という反応です。
「知ってる」と思い出した方に関しては問題ありませんが、「初めて知った」というものに関しては、教科書や用語集で徹底的に調べてください。
そして一旦、調べながらできなかった問題の解答を埋めていってください。
ここまで終わると、「この30問に関しては一応すべて知っている」状態になります。
そうしたらまたこの30問を何も見ずに解いてください。
できなかったものだけでなく、できたものも全部です。
すると今度は6割以上、場合によっては全部正解できると思います。
ここで気をつけてほしいのが、正解できなかったものはもちろんですが、正解していても少し悩んだ問題があれば、解説や教科書で確認してください。
そしてまた30問テストしてください。
これを何も引っかかること無く、満点が取れるまで繰り返してください。
3、4回繰り返せばできると思います。
まだ終わりではありません。
記憶の定着を確認するために翌日、または数日開けて同じ問題を繰り返してください。
それでできていたらOKです。できなければまた確認・解答を繰り返してみてください。
人間の記憶は時間が経つと薄れていきますが、繰り返し思い出すと、特に一度忘れるほど時間を開けてから、脳の奥から引っ張り出すように思い出すと、記憶が定着していきます。
初回や教科書で確認する時間はともかく、2回目3回目となるとほとんど時間がかからず、30問程度なら数分で終わります。
ここでのポイントは「一定の分量をまとめて」「時間を開けて」です。
暗記カードなどは1問1問短時間のうちにインプットとアウトプットを行います。
しかし、私の繰り返しテスト方式だと、1回1回のテストの間にも時間が空きますし、日をおいてからするとさらに記憶の定着ができているかわかるので、自分ができているかどうか誤魔化しが効きません。
そもそも、実際の入試で求められるのは、一定の分量をまとめて回答することです。
ですので、その形式に近い方法で勉強することは合理的だと思います。
そして、この誤魔化しが効かない状況でなんとか覚えようと繰り返すと、驚くほど速く暗記していくことができます。
歴史の問題では、その出来事がいつ起きたのか、つまり西暦何年に起きたのか答えを求められることがあります。
この西暦何年というのは、大学入試で必要なのは約150~200とされています。
そして「鳴くよウグイス平安京」のような語呂合わせが覚えやすいとされ、その語呂合わせを1冊にまとめた参考書のようなものまであります。
記憶術として語呂合わせが有効なのは事実ですが、その語呂合わせの無理やりこじつけた馬鹿みたいな文言自体を200も覚えるのなら、単純に200個の年を覚えてしまったほうが良いです。
ですので私は、ここでも繰り返しテスト方式をしました。
このやり方で、受験に必要な年を私は半日で覚えることができました。(確認のためのテストを含めれば、正確には2、3ですが)
私の時は、友人から借りた一問一答の問題集の巻末に歴史事項が起こった年を穴埋めする問題が付いていました。
それで繰り返しテスト方式をしたら、始めたその日の午前中に淀みなく全問正解するまでできるようになりました。
もし、そのような問題集が見つからなければネットでまとまっているサイトがあるので、それを利用してください。
入試に出る!日本史の主な年号・出来事・重要人物まとめ | スタディ・タウン 学び情報局
ちなみに、歴史の勉強にあたって、「〇〇年を答えるという問題は暗記クイズみたいなもので重要ではない」と言われています。
確かに些末なことで、歴史において本質的なことではありません。
実際その様な入試問題は減っています。
しかし、私は受験生は覚えるべきだと思います。
なぜなら、年代を答えさせるほどの出来事は、歴史の転換点となった重要な出来事だからです。
そして、その順番(年)を暗記するということは、歴史の大きな流れを把握するということでもあるからです。
もちろんその際は数字を暗記するだけでなく、最終的にはその事項が歴史上どんな意味を持っているのかまで学ぶ必要があります。
この大きな流れ、つまり歴史事項が時系列が頭に入っていると、歴史のその他のこともスムーズに頭へ入ってきます。
また、実際の入試問題では「〇〇の戦いは何年に起こったか答えよ」という問題はなくとも、「起こった出来事を時系列に並べよ」という問題が頻出します。
つまり、些末な知識は必要ないとしても、細かな歴史の流れをしっかりと把握しておくことはやはり必要なのです。
そのとき、西暦何年という知識が大きな助けになるのです。
語呂合わせを時間をかけて覚えるのは馬鹿馬鹿しいですが、半日から数日で覚えられるなら、絶対に覚えたほうが良いと思います。
そして、一問一答からステップアップして、より実際の入試問題に近い虫食い文章の穴埋め問題をやります。
例えばこのサイトに有るような形式ですね。
【高校日本史B】「戦国時代・都市3(第1問)」(問題編1) | 映像授業のTry IT (トライイット)
これもやり方は全く同じです。
ただ、答えだけでなく問題の文章もまるごと覚えるようにします。
この手の問題は、穴埋め形式で1つ1つの知識が求められているように見えますが、解答箇所の歴史の重要事項を含め、問題文全体で歴史の流れが非常に良くまとまっています。
ですから、問題文をまるごと覚えることは断片的な知識ではなく、歴史のそのジャンル(〇〇時代、文化、貨幣制度、農耕文化etc.)などの流れとエッセンスを覚えることなのです。
そしてこれを覚えることは、論述問題に対しても有効なのです。
気をつけてほしいのは、穴埋め問題は記号で解答する形式の問題もありますが、そこでもしっかりと単語で書いてほしいということです。
先程も説明しましたが、目視で確認や記号で解答することは、知らないうちに自分を誤魔化してしまっていることがあります。
なにより、慶應の文学部の問題は、論述だけでなく穴埋め問題でも記述で解答することが求められます。
制度の名前でも人物名でも、なんでも漢字でかけるようにしておいてください。
論述問題と史料問題
論述問題と史料問題は受験生にとってハードルが高く取り組みづらいかと思います。
しかし、これもやり方は基本的に繰り返しテスト方式です。
過去問などから問題をピックアップしてできるまで繰り返しました。(史料問題については問題集も購入したので後ほど紹介します)
しかし、論述問題に関しては普段の勉強中における考え方や意識の持ち方も必要です。
それを説明します。
歴史科目の勉強の際に絶対欠かせないのが教科書です。
基本的に教科書に書いてある内容のレベルの問題は出題されないからです。
なので歴史の受験勉強は一にも二にも教科書です。
ですが、論述問題は少し事情が違います。
例えば教科書に
という文章があったとします。
このように教科書は事実が端的に記載されています。
しかし、論述問題は教科書レベルを超えるわけではありませんが、歴史に対してもう少し深い思考が求められるのです。
論述問題で「△△年に起こったことを答えよ」という問いに対して、教科書の記述まま「△△年に〇〇天皇が退位し、✕✕の変が起こった。」と回答してはいけません。
ではどの様な答えが適切かと言うと、「天皇が退位したことによりなぜ、変が起こったのか」その因果関係まで答えることが求められます。
例えば「△△年に〇〇天皇が退位したことにより、〇〇天皇の子と、■■天皇の血を受け継ぐ▼▼氏の皇位継承問題が表面化し、✕✕の変が起こった」というふうに、歴史の出来事の背後関係、因果関係、流れといったものをしっかり理解し、それを回答できなければならないのです。
これは、教科書に直接は書いてはいないことも多いですが、教科書からしっかりと読み取れるレベルのものではあります。
ですので、それをしっかり意識しながら、教科書を読んだり問題を解いていってほしいのです。
一問一答や穴埋め問題の説明の際に、私が「文章をまるごと覚えるのが有効」といったのはこのためでもあるのです。
歴史を暗記科目として断片的な知識を頭に詰め込むだけの勉強をするのではなく、過去から現在までつながる大きな流れや総体として学んでいってほしいのです。
おそらく東大や慶應など、深い思考を求める論述問題を出すのは、この様な意図があると思います。
しかし、これに気づくのが難しいという場合は、予備校(ネット予備校を含む)にいくのは有効だと思います。
私も冬休みから日本史も予備校に通い始めました。
また、論述問題でわからなかった該当箇所を、図書館の歴史関連の本やインターネットで調べて、回答していきました。
そして、史料問題も同じで、古語で書かれているので取っ付きづらいですが、歴史の流れやその意義を考えながらやれば問題なく勉強できます。
出題される史料も、高校で一般的に使用される教科書や史料集レベルです。
以上が日本史の勉強法です。
まとめれば、「歴史全体の流れを常に意識すること」と「完璧にできるまで同じ問題を何度も繰り返しテストする」ということです。
ここでの「テスト」とは「一定の分量がまとまった問題群を何も見ないで解くこと」です。
つまり、実際の入試問題などと同じ形式ですね。
これは日本史だけでなく世界史はもちろん、他の科目でも有効な方法です。
するここで一応、私が使用した問題集を紹介します。
『日本史B一問一答【完全版】2nd edition (東進ブックス 大学受験 高速マスター)』一問一答の問題集で、『日本史問題集 完全版 (東進ブックス パーフェクトマスター)』が実際の受験問題で使用された文章の穴埋め問題です。
この問題集もそうですが、穴埋め問題は様々な大学の一般的な出題形式なので、いろいろな大学の過去問をやりました。
先程も言いましたが、その際は繰り返し問題を解き、文章の問題をまるごと覚えました
他には友人から借りた、歴史年号のまとまった問題が付いている一問一答形式のものです。
『史料日本史 (演習編)』が私が使った史料の問題集です。
史料の問題ががっつり出題される学校が少ないのか、過去問から問題を探すのが割と大変だったので購入しました。
これ以外にも同じ様な、しかももっと使いやすい物があると思いますので、自分のレベルに合わせて探してみるといいと思います。
小論文
慶應の入試の小論文に関しては様々なことが言われています。
よく言われるのは「あまり重要でない」とか「まともに勉強しなくても合格できた」などと、まことしやかに言われています。
ですがこれは嘘です。
私は大学入学後にお世話になった先生から「慶應の入試の小論文はしっかりと見ている」という話しをうかがったからです。
なので、小論文が採点で軽んじられていることはありません。
ただ、小論文は勉強しづらく、しっかりと書ける人は当然合格するにしても、合格した人の中にもあまりうまく書けていない人がいるというのは本当かもしれません。
しかし裏を返せば、英語と違い小論文は差がつきやすく、しっかり書ければ他の受験生を出し抜けるとも言えます。
また「論理的な文章を書く」というのは、受験だけでなくその先の大学でのレポートや論文、そして普通の社会生活においても最も必要なスキルの1つです。
なので、この機会にしっかりと論理的な文章を書くことを学んでおくのは絶対に有益なことです。
では、小論文について説明します。
小論文の問題形式と意識の持ち方
小論文の力は大きく分けて3つあります。
- 文章を読む読解力
- 自分の考え・意見を述べる力
- 論理的な文章を書く力
この3つです。
これらは互いに関係しています。
例えば与えられた文章を要約するのであれば1と3。
自分の意見を述べるのであれば2と3です。
実はこれらはまとめて国語力の範疇に入り、現代文で学べるというのが私の考えです。
そのため、詳しくは後ほど現代文の説明の部分でお話します。
ただ、「実際に文章を書く」というのは現代文にはあまりない重要な要素だと思います。
なのでここでは、そのために私がした勉強方法を紹介します。
しかし、テクニック的なことは述べません。
「序論、本論、結論の3段構成にする」とか「筆者の意見に賛成である、なぜなら~」という論理展開などは、どの参考書やサイトにもあります。
ですので、それらをどういう意識の仕方や勉強法でで身に付けたかを中心に説明します。
小論文の問題形式は以下の3つがあります。
- 要約
- 文章読解型
- 課題型
下に行くほど文章を書く自由度が高くなります。
1の要約は書いてあることをまとめるものです。
「要約せよ」とあれば、書いてある文章のポイントを読み取りまとめることです。
要約に自分の意見を入れてはいけません。
しかし「要約せよ」との問題指示がない場合でも、筆者の主張をしっかりと理解していることを示した上で自分の意見を述べる必要があるので、その際は自分の意見を述べつつも端的に要約してください。
そして実は、これは英語の試験でも求められていることだったりします。
また歴史の流れ=歴史の意義・大意をつかむという意味では、歴史科目でも求められる力です。
慶應の試験は、目の前にある物事、それは文章でも歴史でもですが、何においてもその全体の意味を捉える読解力と思考力を求めていると言えます。
2の文章読解型は、与えられた長文を読み、それについて理解した上で自分の考えを述べるものです。
先程も言いましたが、実際に解答に書くかどうかは状況次第ですが、ここでも文章の大意をつかむ力=要約が求めらます。
そして、自分の意見を述べる必要がありますが、自分勝手に何を書いてもいいわけではなく、あくまで文章の筆者のの主張、そして何より、その文章を何故この小論文の試験に課したのか、「問題製作者の意図」を読み取ることが重要です。
これができないで独りよがりな意見を書いてしまうと評価してもらえません。
3の課題型は長い文章はなく「〇〇について論じよ」「✕✕について自分の考えを述べよ」といった短い形式で出されます。
これは自分の知識や経験を最大限に動員して書いてください。
しかし、ここでも出題者=問題製作者の意図をしっかり考えてください。
例えば(これは本当にただの例えであり、また文学部らしい問いではないですが)、「少子化について考えろ述べよ」という問題であれば、「国力が衰える」「年金制度が破綻する」という一般的な答えだけでダメでしょう。
必要なのは「受験生の大半であり、少子化の影響を今後最も受ける20歳以下の君たちがどんな展望を持ち、どんな生き方をしようとしているのか」という「当事者意識」をいかに持っているか、さらに言えば「慶應という名門校で何を学び、リーダーとしてどんな社会を築いていくか」と言った高い意識を求めていると考えられます。
その要求に答えるような文章を書こうとしなければなりません。
ですので、小論文以外の科目もそうですが、課された問題を漫然と受動的に解くのではなく、主体的に取り組み、思考し、答えを導き出すことが求められているのです。
受験勉強をしていく際には、早い時期からこの様な大局的な高い意識を持って取り組んでください。
私が実際にした勉強法
さて、ここまでは理念的な説明が多くなりました。
ここからは書く力をつける具体的な訓練方法です。
それは、小論文の形(論法)を一通り把握したら、ひたすら書き、書いたものを客観的に見ることです。
一番良いのは、書いたら人に見せて、良くない点を指摘してもらい、書き直すというものです。
これに関しては、学校や予備校の先生などが近くにいると非常に有効です。
そういった人が近くにいる場合は、恥ずかしがらずに見せに行きましょう
ただ、私は小論文の授業をとっていなかったためそれができなかったので、書いたあと少し時間を開けて自分で読んでいました。
すると意外と客観的にみることができ、自分でもダメな部分が見えてきます。
そして、試行錯誤して修正していきます。
この、「試行錯誤して良いものを書こうとする」という行為が重要です。
これをしていると、自然と自分だけではなく、新聞やネットなどの他人の文章の良し悪しにも目が行きます。
「この言い方はうまい」とか「語順はこうした方が分かりやすい」など考えることができるようになります。
そうして何度も書いていると、次第に自分の意見を論理的に述べることができるようになってきます。
私がしたのはそれだけです。
実は私自身は文章力にそれほど自信を持っていませんが、大学時代など様々な場面で「しっかりとした文章が書けている」と褒めていただきました。
もちろん、私が元々本を読むのが好きということも良い結果につながったと思います。
新書などは、わかり易く論理的な文章で書かれているものが多いので、息抜きがてらに読むのも有効だと思います。
例えば清水幾太郎の『論文の書き方 (岩波新書)』という本は、古い本ですがベストセラーであり、小論文のために限らず文章を書く基本を学べるので、1度目を通してもいいでしょう。
現代文
論理的に考え、客観的な答えを導き出すのが「国語力」
現代文は慶應文学部の入試科目にはありません。
ですが、主に現代文で学べる文章読解力など国語力を身につけることは、実は非常に有効です。
上で説明した、英語・歴史・小論文のそれぞれの科目でも触れた、「文章の大意を掴む」「歴史の流れを把握する」「問題・出題者の意図を理解する」「要約をする」「論理的で分かりやすい文章を書く」などは本質的には同じもので、すべて国語力と言えます。
慶應の入試科目に国語はありませんが、別の科目の中で、国語力のその本質的なものをしっかりと試験しているのです。
そしてこの国語力は大学の入試だけでなく、社会生活において最も重要な能力です。
しかし、その国語力についてすべてまとめようと思うと非常に膨大かつ煩雑になります。
ですのでここでは、受験において実用的なものを紹介したあと、より幅広く考え学ぶことのできる書籍を紹介します。
受験で求められる国語力とは客観性である
では受験で求められる国語力とは何でしょうか。
それは客観性です。
これを意外に思う方もいるかも知れません。
なぜなら国語は数学などの理系科目はもちろん、歴史などの文系科目と比べても、客観的な真理や事実よりも、主観的な感情や意見などを表現したり問われたりする科目だと考えられているからです。
国語や文学部に対して「文系は作者の気持ちでも考えてろよ」などといった揶揄があることにその一端が伺えます。
しかしこれは全くの間違いです。
むしろ反対に、国語は徹底的に論理的に考え、誰もが正しいと思える客観的な答えを導き出す科目です。
もちろん、数理言語と比較して自然言語には曖昧な性質があります。
また、自然言語は主観的な感情を表現する道具でもあるので、そういった誤解は致し方ない部分はあります。
ですが、国語の現代文で示される文章、論文、ビジネスシーンでの書類などでの自然言語は、論理的で客観的なものである(べきな)ので、読む方も先ずは論理的、客観的に読み解釈しなければならないのです。
つまり、ある文章には、誰もがそう考える客観的で妥当な意味があり、それを論理的に考え見つけていく必要があるのです。
その意味を見つける力がここで言う国語力なのです。
現代文の試験は、問題の出題者がどう考えたかを考える
ではその国語では、どこから何を見つければよいでしょうか。
それは、「本文から、問題出題者が本文をどのように読んだか」です。
例えば、普段ある文章を読んだ時、読者がどんな感想や考えを持とうが自由です。
面白かった、つまらなかったなどはもちろん、「筆者はこう考えているのではないか?」など思うままに感じていいですし、それが読書の楽しみでもあります。
しかし、国語の現代文という科目においては、それは絶対にしてはなりません。
例えば国語の試験で「筆者がどのように考えているか、理由を述べよ」と言った問題があるとします。
そのとき受験生は、筆者の考えを想像してはいけません。
なぜならその問いは正確には「筆者がどのように考えているか、出題者がどのように考えたか、論理的・客観的な根拠を示し理由を述べよ」という意味だからです。
つまり、本文が小説でも論説文でも、受験生は文章やその筆者と1対1で向き合って考えるのではなく、問題の出題者を介して、筆者・出題者・受験生の3者関係の中で、論理的に考えるのです。
当然、出題者が勝手に考えたわけではありません。
文章に則して、しっかりと論理的根拠を元にその考えを導き出しています。
受験生にも、その論理的根拠を見つけてもらい、どうしてその様な考えに至ったかを示すことを求めているのです。
そして、そのための導入でありヒントが問題文(問い)なのです。
また、そういった問題は文章の重要なポイントに仕掛けられています。
つまり問題を読めば、その文章で見るべきところはどこか、まとまっています。
要約ができているということです。
ですから、現代文はまず何より問題(問い)に注目すべきなのです。
これは英語のところで説明した「まずは問題をじっくり読むべき」と言った理由です。
最初に説明した、すべての科目には国語力が必要だというのはこういうことであり、その国語力は現代文によって鍛えることができるのです。
問題の出題者は、おそらく大抵の受験生より知的レベルが遥かに高いでしょう。
ですから出題者は受験生に対して、問題を課し自分の思考を追わせることで、「このレベルについて来れるか、このレベルまで登ってきなさい」と言っているのです。
すべての基本は現代文
すべての科目の試験において求められていることは、出題者の要求に答えることです。
そのためには出題者がなにを要求しているのか(=問題文)を確認してから、論理的に文章を読むことが基本であり、重要なのです。
別の言い方をすると、日常の会話やビジネスシーンでも絶対に必要な「相手の話をしっかり聞き、理解する」という最も基本的な姿勢です。
その基本的な姿勢を身につけることができるのが現代文なのです。
こういったことを分かりやすく紹介している本があります。
『声に出して読みたい日本語』などで有名な齋藤孝さんの『「東大国語」入試問題で鍛える! 齋藤孝の 読むチカラ』です。
「文系は作者の気持ちでも考えてろよ」的な誤解を分かりやすく解いてくれています。
しかし、私個人的にはこの本だけが特別なことを言っているとは感じません。
受験生が文章の筆者と直に向き合うのではなく、筆者・出題者・受験生の3人の間で論理的根拠を元に共通理解を深めていくというのは、あたり前のことだと思うからです。
ただし一方で、筆者に直に向き合ってしまう受験生が多いのも確かです。
この本の中にも齋藤氏本人の体験として書いてありますが、小林秀雄という正に知の巨人の文章が出題された時、出題者など目もくれず「小林秀雄、かかって来い」という気持ちになっていたといいます。
ゆくゆくはそのレベルに達したいという意気込みは良いでしょうが、自分が小林秀雄を読むのではなく、大学受験では知的訓練として、小林秀雄を出題者がどう読んだのか考えてみてください。
読んでいませんが、最近(2019年)も『齋藤孝の東大式読む力』という同じ様なタイトルの本を出しています。
受験勉強で、気持ちも時間も余裕がないかもしれませんが、本を読むことは勉強になります。
行き詰まったときなどは、気分転換も兼ねて読んでみてください。
古典
科目についてほとんどの説明は済みました。
というのも、はっきり言って、私は古典の勉強をほぼしていないのです。
英語の勉強と同じように、単語や文法事項の説明がついている文章を読んだだけです。
過去問や問題集はほとんどやりませんでした。
慶應の入試に古典はないので問題ありませんが、法政にはありました。
ですがちゃんと法政にも合格しています。
私は時間的余裕でそうなってしまいましたが、受験で必要な方はもちろん、時間に余裕のある方はここで紹介した勉強法をベースにぜひ勉強してください。
受験で使用しなくても、様々な文章を読むために、古典の知識というのは非常にためになります。
私の受験勉強への取り組み方。勉強時間の決め方について。
勉強が中心で、勉強にできるだけ多くの時間を充てるということは言うまでもありません。
しかし、裏を返せばそれ以外の時間をどう使うかが重要ということでもあります。
食事や睡眠など生活に必要な時間や、休憩のとり方も大切です。
これらをどうするか一言で言えば、メリハリをつけるということです。
私はこのために、あえて逆に、勉強以外の時間を中心に考えました。
勉強の合間に休憩するのではなく、食事などしなければならないこと、休憩や遊びなどしたいことを決めてから、その合間の時間をすべて勉強にあてたのです。
個人的な話ですが、私はサッカーが好きで、録画して週に5試合は観ています。
1試合のテレビ放送は大体に2時間です。
例えば、午後1時から勉強をして、3時からサッカーを観ます。
そして5時からまた勉強を始めて7時の夕飯でリラックスします。
8時から勉強をして10時からお風呂でリラックスです。
お風呂の後は気分次第で、30分や1時間勉強をしても良いですし、寝てもいいです。
午後だけで無理なく6時間から7時間勉強できます。
もちろん午前もしますし、朝起きてから朝食までの間も使っていいです。
サッカーだけでなく、マンガも読みゲームもしてました。
「他にもこの日だけは勉強せずに遊ぶ」という日もありました。
「この時間はサッカーを観られるんだ」「ここに楽しい時間があるんだ」とわかっていれば気持ちも楽で、2時間の勉強は全く苦ではないです。
こうすると1日10時間の勉強というのは難しくありませんでした。
注意しなければならないのは、勉強以外の時間が多すぎたり、ダラダラ伸ばしたりしないということです。
「サッカーをもう1試合」「マンガをもう1冊」「食べ終わったのにダラダラ」などは絶対にしないことです。
勉強は「3時間やろう」などと計画を立てても気分が乗らずできないことがあります。
だから、「今日は勉強を○○時間やる」なんて計画はそもそも立てられないのです。
一方好きなことはいくらでもできます。
ですので「サッカーは2時間」など、楽しみな予定こそしっかり立てて、けじめを付け楽しみます。
そして、その合間に勉強をすれば良いのです。
そうすれば自然とメリハリが付きます。
おわりに
最後にまとめると、どの科目もおおよそ2つにまとめられます。
- 試験の出題者の要求・意図をしっかり把握する=問題をしっかり読む
- 実践し、フィードバックを繰り返す=テスト形式の問題を解き、満点を取れるまで繰り返すです。
「満点を取る」というのは小論文では当てはまりませんが、できる限り完璧なものを目指す気持ちで取り組んでください。
そして受験勉強と実際の試験に臨む際の心構として、特に重要な1に関しては、現代文で身につけることができます。
受験にとどまらず、「話を聞き、理解する」という、あらゆる場面で重要な姿勢・能力でもあります。
たとえ受験科目になくても、受験という絶好の機会に勉強してください。
受験科目にはない慶應大学に合格する近道にもなります。
ソースは俺です。